エンジェル投資家とは

(この記事は『エンジェル投資家』(ジェイソン・カラカニス 著)を読んだ内容を、
僕なりの解釈と伴にまとめています。)

 

【本の要約】
著者のジェイソン・カラカニスは、シリコンバレーで最も有名な
エンジェル投資家の1人であり、ウーバーやサムタックなど
5社のユニコーン(会社評価額10億以上の非上場企業)に
投資した実績をもちます。
この本は、そんなエンジェル投資家として大成功を収めたカラカニスが
エンジェル投資専門のプロが出版する初めての書籍です。
起業を考えている人にもなかなか参考になります。

【本の内容】
①エンジェル投資とは
②スタートアップの資金調達方法まとめ
③金がなくても非上場株を手に入れる方法
④エンジェル投資家としての仕事内容
⑤スタートアップの世界で大切なこと

①エンジェル投資とは
エンジェル投資のエンジェルはそのまま「天使」という意味です。
もともとはアメリカでミュージカルを制作する上でお金が必要であり、
資産家の人が資金を提供してくれた時に「エンジェル」と呼ばれことが由来と言われています。
今では、創業間もないスタートアップ企業に対して資金を提供することをエンジェル投資と呼んでいます。
創業間もない企業に投資するわけなので、極めてハイリスクハイリターンな投資です。
投資先の企業のビジネスが軌道にのり、
上場またはバイアウト(他の企業に売ること)ができれば、
取得した株の価値が跳ね上がり、莫大な利益を生み出します。
例えば著者のカラカニスは、ウーバーがまだ企業価値500万ドルの時に、
2.5万ドル投資し株式の0.5%を得ました。
現在のウーバーの企業価値は1500倍以上の760億ドルと言われており、
そのうちの0.5%である3.8億ドルの富を得ることができました。
もちろん、投資した企業が潰れれば、投資した分のお金は返ってきません。
お金を貸したわけではないので、
潰れれば1円も返ってこないことは当然です。

しかし、多くの天才創業者たちが巨万の富を築いている時代に、
エンジェル投資家は一般人としてその中に加わることができる
唯一の方法だというのは魅力的です。

最近では日本もIT業界の起業ブームもあり、エンジェル投資している方が増えています。
最近では、元サッカー日本代表の本田圭佑さんも
海外でいろいろな非上場企業に投資をしていますね。

②スタートアップの資金繰り方法まとめ
会社を運営するにはとにかくお金が必要です。
どのような資金繰りの方法があるのか、一部を下記に紹介します。

・ただ働きラウンド
文字通り、創業者のタダ働きでプロダクトを製作します。
資金調達方法の紹介と言いながら、1つ目は資金を調達しない方法です(笑)
当然、その間の収入はないので、貯金を切り崩すとか副業しながらの生活となります。
ハードモードではありますが、アイディアをパワポで発表しただけで
資金調達しようとする創業者もいるわけで、そういう人より本気度が伝わって
エンジェル投資をされやすいらしいです。
実績も信用もない人は、ただ働きでプロダクトを製作するべきでしょう。

・ブーストラップラウンド
最低限の予算でほとんどお金を使わずに最低限のプロダクトを製作し、
そこで出たわずかな事業利益でプロダクトに磨きをかけていくことです。
既にお客様がついているというのは信用につながり、
エンジェル投資は受けてもらいやすくなります。
しかし、無借金経営が好まれる日本では当たり前かもしれませんが、
これでは会社の成長に時間がかかり、シリコンバレーではあまり好まれません。

・親類縁者ラウンド
自分の親戚や友人、知人から出資してもらい創業します。
本人にとってはトラブルの元になり危険を伴いますが、
投資家から見れば創業者の人格が信用されている証となり好印象となります。
ちなみにアマゾンCEOのジェフ・ベゾスや、
テスラCEOのイーロン・マスクの親類縁者は、
このラウンドの時に投資して莫大な富を稼ぎました。

・自己資金ラウンド
自分の貯金、または借金をして創業者自身の資金で創業することです。
これも日本では1番イメージがつきやすいですが、
アメリカではよほど金が余ってる場合を除いて、この方法は好まれません。
誰からもそのビジネスについて理解を得られず、
誰からも信用されなかったという証明になってしまうからです。
家族がいる場合は家族に対して無責任であるし、
革命家ではなく自惚れ屋であると自分を見つめなおすべき、だそうです。

・インキュベーターラウンド
創業に対する様々な支援(資金調達、経営コンサル、税務など)を行う機関を
インキュベーターもしくはアクセラレーターと言います。
日本ではサムライインキュベートなどが有名です。
株式の数%をもっていかれてしまうデメリットがありますが、
何より会社が倒産するよりはいいでしょう。
ちなみに、日本でも馴染みのあるエアビーアンドビーや
ドロップボックスはインキュベーター出身のIT企業です。

・シード/エンジェル投資ラウンド
上記の5つのラウンドのうち、どこかでエンジェル投資家は投資します。
それはプロダクトができる前でもできた後でも、創業者を見て判断していきます。
まだ利益も十分に出ていない時に投資するため、優良企業なんてありません。

・ブリッジラウンド
シリーズAラウンドまであとちょっとだけど金が尽きそう、
という時に発動するラウンドです。
シードラウンドまでの橋渡し、という意味ですね。
金回りが悪いということは業績が良いわけではないので、
採算よりも個人的な応援の気持ちを込めて投資する、という感じでしょうか。

・シリーズAラウンド
ビジネスが損益分岐点に到達したら、ここでいよいよプロの投資家たちが動き出します。
ベンチャーキャピタルが大きなお金を動かし、取締役に1人送り込むのが一般的です。
スタートアップ企業が頑張ってようやく芽が出てきたというところでしょうか。

・シリーズB,C,D,E,Fラウンド
シリーズAラウンドで得た資金を元手に、ビジネスがさらに伸びた時に実施します。
Aよりも何倍も大きな額を調達し、上場かエグジット(大手による買収)が目前という状態です。
ここまで来ればかなり勝ち馬に乗る可能性が高く、
ソフトバンクのビジョンファンドは上場直前の
最後のラウンドで投資していくことが多いです。

※シードの細かい説明は長くなるのでここでは割愛します

 

③金がなくても非上場株を手に入れる方法
スタートアップ投資というギャンブルは、金持ち限定の遊びではありません。
金がなくても、スタートアップ株を得る方法があります。
スタートアップの株を持ってるのは、創業者、社員、エンジェル投資家、
VC(ベンチャーキャピタル)、アドバイザーの5つのタイプです。

創業者
自分で会社をつくれば、当然自分の会社の株式をもつことができるので
説明は不要でしょう。

社員
スタートアップ企業では、給料を払うだけのお金がありません。
そこで、給料の代わりにストックオプションという
「〇年後の会社の株を超激安で買う権利」をもらいます。
もちろん、給料は出ずに働いて会社はつぶれ、その間に無一文になる可能性もあります。

エンジェル投資家
上記で説明した通り、会社の株式を購入するため、
これだけはお金がないとできませんが、
会社が大きくなる前の投資のため、
比較的に安く非上場企業の株を買うことができます。

VC(ベンチャーキャピタル)
エンジェル投資家は自分の金で投資しますが、
VCは他人からかき集めたお金を運用している点が異なります。
例えば、ソフトバンクのビジョンファンドは
サウジアラビアの王子などからお金を集めています。
お金持ちじゃなくても、能力があればできますね。

アドバイザー
社員と同様に、お金という報酬の代わりにストックオプションを得ます。
何かの専門知識に秀でていれば、大学生でも名刺だけ用意すれば
アドバイザーになることができます。

 

④エンジェル投資家としての仕事内容
エンジェル投資家は、投資したあとにその会社が実るのを
じっくり待っていてはいけません。
ビジネスはそう簡単にうまくいかないので、
エンジェル投資家も投資先の創業者を定期的にサポートしていきます。
売上目標の大幅未達や社員の裏切りなどで創業者が疲弊しているときは
精神的にサポートし、ビジネス提携相手や顧客探しにも、
エンジェル投資家としての人脈を使って適切な人を紹介するなどをしていきます。
会社の成長は創業者もエンジェル投資家も共通の望みなので、
協力してやっていく必要があります。
創業者に「早く俺の金を返してくれ」という圧力をかけてしまっては、
創業者が歩みを止めてしまうため、投資分がパーになってしまいます。

もちろん、新たな投資先探しも並行して行っていかなければなりません。
カラカニスは、1つの投資先を見つけるまでに大体25~50人の創業者と会います。
それでもほとんどの投資先はうまくいきませんが、
1つの大当たりがすべての損失をカバーすることができる、
という世界なのがエンジェル投資。

下記のようなデータを見たとき、誰もエンジェル投資家になろうと思わないでしょう。

■ナプキンの裏にアイディアを書く人の99%は行動に移さない。
■ビジネスプランを書く人の95%はそれを実行しない
■プロトタイプを作る人の90%はMVP(必要最低限のプロダクト)を作らない。
■MVPをつくる人の80%はベータテストを実施しない。
■ベータテストを実施する人の80%は法人化しない。
■ベータテストに成功した人の95%は資金調達しない。

これを見ると、エンジェル投資は無理ゲ―な感じがしますが、
それでも優秀な創業者を見つけ世界を変革する手助けをするのが
エンジェル投資家の役目です。

 

⑤スタートアップの世界で大切なこと

スタートアップ界隈では、裏切られるのが日常茶飯事です。
会社の実績を誇張に話す創業者もいるし、
有名投資家が投資しているというウソをついて信用を得ようとする創業者もいます。
あとから乗ってきた投資家が、すでに発行したストックオプションを
破棄させようとする場合もあります。
二人三脚でやっていた社員が突然辞めることもあるし、
優秀な創業者がGoogleやAppleに高額でヘッドハンティングされる場合もあります。
映画『ソーシャル・ネットワーク』を見た人は、
上場前のFacebookが大変だったことがわかると思います。

だから創業者であれ投資家であれ、
信用できる人とビジネスをするのが1番大事です。

創業者から見れば、会社が成功することは
エンジェル投資家にも大金が入ってくることを意味します。
その人が大金を手にすることに、自分も誇りを持つことができるでしょうか。

エンジェル投資家は、創業者が苦しくなっても逃げ出さない人間なのか、
自惚れやではなく革命家なのか、常に目利きしなければなりません。

カラカニスはおびただしい数のスタートアップを見てきました。
絶対にうまくいくはずの投資がうまくいくいきませんでした。
絶対にうまくいくはずがないと思って投資を見送った企業が
誰もが知っているあのTwitter社です。

そして、カラカニスはプロダクトが伸びるかどうかを判断することを諦めたと言います。

10億ドルの企業を選ぶのではない。10億ドルの創業者を選ぶのだ。
(ジェイソン・カラカニス)