会社の枠を捨てて世に出よう

(この記事は『エンジニアとしての生き方』(中島聡 著)を読んだ内容を、僕なりの解釈と伴にまとめています。)

【本の紹介】
著者の中島聡さんは、マイクロソフトがまだベンチャー企業であった頃に
Windows95の開発に携わり、それからずっとシリコンバレーの第一線で
活躍するエンジニアです。日本を外から見ることができる著者だからこそ
日本のIT産業の問題点を鋭く指摘しています。
あらゆる産業においてソフトウェアの重要性が増している今日では、
エンジニア以外の方にも一読の価値ありです。

【ソフトウェア開発で世界に勝てている日本企業はほとんどない】
かつてNTT docomoのiモードは世界発のデータ通信ビジネスを成功させ、
日本は世界より2年進んでいる国として讃えられていました。
しかし、Google,Amazon,Salesforce,Facebookなどの巨大なソフトウェア企業が
世界市場を牛耳る中で、日本の大企業が世界で通用している例はほとんどありません。

「日本はモノづくりが得意だからハードウェアで勝負だ」という意見もありますが、
今やどのような商品もソフトウェアの時代です。
日本のお家芸である自動車産業も、電気自動車が主流の時代に変化し、
ソフトウェアが重要なため、多くのIT企業が新規参入しています。
テスラの車と比べて、トヨタのソフトウェアは
何年も遅れていると言われているほどです。
自動車産業に限らずどの業界でも、ハードで差がつきにくくなってきているので
どのようにソフトで差をつけていくかというのが今の時代です。

ではなぜ、かつてiモードという素晴らしいサービスが生まれた日本が
世界でまともに戦えなくなってしまったのか。

諸悪の原因は多々ありますが、その1つがIT業界のゼネコン化です。

【IT業界のゼネコン化】
建築業界は、大手ゼネコンがピラミッドの頂点に立ち、
国から受注した案件を下請けに流し、そこからその下請け、さらにその下請けへ。。。
というように、階層型の構造をなしています。
日本の建築業における職人は、かなり低賃金で働かせており、
最近では外国人労働者が主にその役を担っています。

日本のIT業界も、まさにこれと同じ現象が起きています。
今、空前のプログラミングブームですが、日本のプログラマーの
年収は300~500万円の方がほとんで、ピラミッドの最下層の
派遣社員たちです。

そもそも開発の仕方には、ウォーターフォール型(上流が設計し下流に作らせるやり方)と
アジャイル型(設計書は修正前提で開発しながら作り上げるやり方)があります。
Googleもマイクロソフトも、シリコンバレーのIT企業は
皆アジャイル型の開発をしています。
アジャイル型のメリットは、常に軌道修正できるので時代の変化に対応しやすい点と、
設計者が直接開発を進められるため、完成品が良くなります。

対するウォーターフォール型は、計画通りに進めやすいというメリットがありますが、
時代のニーズが目まぐるしく変化するスピードに対応できない、
上から言われたとおりに作ることしかできない、という問題があります。

ウォーターフォール型では、コードをよく知らない人間が
お客様の要求を元に設計書をつくり、あとは外注するか
派遣社員にコードを指示通りに書かせます。

一流のシェフは、レシピだけ作って下っ端に作らせたりしません。
料理の動作1つ1つに魂を込めて自分で作り上げていきます。
プログラマーも同じで、シリコンバレーのプログラマーは最後まで自分で書き上げます。

そもそもプログラムは最初から完璧に設計なんてできません。
書いているうちに「ここはもっとこうした方が良い」とか
「これをやろうとするとあれができないから、ここは設計を修正しないといけない」とか
開発してみて初めてわかることがたくさんあります。
そのため中島さんはよく、「コードは1行1行が経営判断」と発言されています。

余談ですが、この辺は新規事業と起業の立ち上げ方にも似ています。
企業での新規事業がほとんどうまくいかないのは、
企画を通さないと実行できないため、設計に時間を費やしまうからです。
とりあえずやってみる起業家の方がゼロ⇒イチは生み出しやすく、
結果的にほとんどの大手企業は自社で新規事業をやるよりも、
ベンチャー投資という道を選んでいます。

【自分のキャリアは自分で切り開こう】
今さら、ウォーターフォールでガチガチに出来上がった産業構造を
いきなりアジャイル型にすることはできません。

でも、労働者は乗っている船を移ることができます。
上からの設計通りにコードを書くことがつまらない、待遇が良くない、
という不満があるのであれば、思い切って転職するのもありです。
失われた10年から失われた20年まで成長のない日本市場に
終身雇用も何もないので、自分のキャリアは自分自身で歩んでいきましょう。

日本企業でウォーターフォール型ではなく、アジャイル型で
ゴリゴリ開発をやっているところは少ないので、英語を身に着けて
グローバル市場で受け入れられる人材になるべきです。

【グローバルで通用する人材】
シリコンバレーでは優秀な人材を他社からスカウトするヘッドハンティングが盛んです。
いろんな会社から引っ張りだこな彼らは、下記のような特徴をもっています。

・パッション
ネガティブではなくポジティブな動機。
「僕ならもっといい商品が作れます」「僕抜きでそれをやるのは許さない」
と想えるほど強い想いをもち、何より三度の飯より
プログラミングが大好きでないとできません。

・コミュニケーション能力と人脈
日本ではエンジニア=陰気なヲタクというイメージを思っている人が多いが、
実際はそうではないし、まして様々な人種が集まるシリコンバレーでは
コミュニケ―ション能力は必須です。
少数で莫大な価値を生みだすことができるソフトウェア開発では、
知を結集させるためにもコミュニケーションが必要です。

・インテリジェンス
教科書の丸暗記の薄い知識やノウハウではなく、深く本質的な思考力。
原因と結果をとことんまで追求できるロジカルシンキングが必要です。

【天職に就こう】
ここからはエンジニアに限った話ではありません。
結局、どの市場が伸びるかとか、どの仕事が楽とかで選ぶよりも
楽しくて楽しくて寝食を忘れても没頭できることを仕事にすべきというもの。

努力を努力とも思わずに、夢中になっている人が無敵です。
このブログのサブタイトルである「何事も夢中が無敵」としていますが、
全く同感ですね!
好きなことは何時間やっても疲れないし、やればやるほど幸福度は高くなります。

そのためにも、まずは自分のベクトルを決める必要があります。
自分が本当にやりたいことを見つけるために、いろいろとかじってみることです。

そして、自分のベクトルが定まったら、今の会社のベクトルと照らし合わせ、
合わないなら妥協点を見つけるか、どうしても会わないなら転職することも
全然悪いことではないです。

私は、好きなことは夢中になってやり、
興味のないことは全く身が入らないタイプなので、
まさにこの言葉の通り生きてきました。(笑)

お陰様で、今までの人生で後悔したことはないですし、
これからも、一度しかない人生を夢中になることだけに没頭させようと思います!