ロボット従業員の威力

(この記事は『RPAの威力』を読んだ内容を、僕なりの解釈と伴にまとめています。)

【本の概要】
著書はアビームコンサルティングの2名が共著したもので、
RPA(あとで詳しく説明します)がどれだけ凄いものなのかを実例と伴に紹介している本です。
アビームはコンサルティング業界の中でもかなりITに強く、国内のRPA導入実績はトップ。
最初は、「アビームの宣伝の本だろ!」って思いましたが読んでみるとそうでもなく、
RPAの必要性がよくわかる1冊でした。
余談ですが、コンサルタントが書く文章は本当にわかりやすいw

【RPAとは】
ロボットといえば、ドラえもんとかアトムとか、手足のあるハードウェアとしてのロボットを想像するかもしれません。
でも、世界中で急拡大しているロボット従業員は、目に見えないソフトウェアとしてコンピュータの中に存在します。
それが”RPA”です。

RPAとは、Robotic process automationの略で、
ホワイトカラーの単純作業を自動化するツールのこと。
普段の単純作業を自動化し、24時間文句を言わず働いてくれる優秀な従業員のことです。

具体的なツールは、下記のようなものが有名なので、
興味があったら調べてみてください。
ちなみにRPAツールのほとんどがWindows用で、Linux用はわずかしかなく、
MacOS用に関しては未だないらしい。

・WinActor
・BizRobo!
・Blue Prism
・UiPath
・NICE
・Automation Anywhere
・Pega Robotic Automation
・WorkFusion

【AIとRPAの違い】
ちなみに、近年めちゃくちゃメディアで騒がれているAIとは違うので、
ここできちんと定義しておきます。
まずAIとは、膨大なデータから機械が勝手に学習して、答えを導いてくれるものです。
ざっくりいうと、人間の脳みそみたいな。
人間は、たとえば女性を見て「この子かわいい!」と判断する場合、
過去に脳に記憶された女性の顔の中で、「かわいい」と思える共通点を見つけ出し、
今見ている情報と照らし合わせて、「この子かわいい!」と判断します。
AIも同じように、膨大な記録の中から、「かわいい」と思える共通点を見つけ出し、
今見ている女性が「かわいい」か判断できます。
AIの弱点は、精度がデータ量に依存することと、答えのロジックが人間には理解できない点です。
人間が過去に見てきた女性の数が多いほど、
「かわいい か かわいくないか」の精度が上がるように、
AIにも膨大なデータ(ビッグデータ)が必要です。大量のデータがないとAIの精度は低い。
そして、「どうしてかわいいのか」を説明するのに、
人間なら「目が大きい」「鼻が高い」「顔が小さい」とか説明ができますが、
AIは「可愛い」の定義をAI自身が行ってしまうので、
どうして可愛いのか、人間には理解できません。

AIが「データが必要」「勝手に定義する」なのに対して、
RPAは、人間の指示通りに完璧に動作します。
さっきのかわいい子の例えでいうと、
RPAはその子が「かわいい」か「かわいくないか」を判断することはできません。
そこの判断は人間が行うとして、RPAが得意なのは必要な情報を集めることです。
Facebookにログインして、膨大な人数の女性の顔写真を集め、
その集まった写真の中で、例えば「目の大きさが顔全体の〇%以上ある人」だけを
抽出するよう命令することもできます。
AIと違って答えを提示するわけではないので、データ量は必要ありません。
AIとRPAどっちがいいとかいう話ではなく、RPAで集めた情報を元に人間が判断するなり、
AIが判断するなり、うまく融合させていくことで効果が最大化します。

【RPAと社内システムの違い】
RPA=システムをイメージするかもしれませんが、
どちらもITを駆使した業務効率化ではありますが、
RPAの方が規模が小さく、システムの方が規模が大きいです。
たとえば、社内に既に顧客管理のシステムがあったとして、
「ここに顧客名を記入する」「ここに住所を書く」「ここに金額を書く」というのは、
システム上の記入欄に人間が手打ちしていく必要があるでしょう。
だけど、この人間の単純な入力作業を自動化するのがRPAであり、
システムの手の届かないところを、RPAがカバーする、というイメージです。

システム化するほど大規模な開発業務(プログラミングとか)は必要なく、
局所的に人間がやっている定型業務を自動化するのがRPAです。
なので、システム化するほどがっちり設計する必要はなく、
もっと気軽に使えるもので、作業ごとに適材適所のロボットを作ればいいのです。
局所的に使っているから、他部署と意見交換せずに始めることもできるし、
やりながら修正していくことも簡単らしいです。
(この辺は使ってみないとわかりませんw)

【RPAで単純作業を効率化】
ここから実際の現場で、どのようにRPAが活かせるか実例を紹介します。
あくまで一例ですが、具体例を読んでみると
自社でも「ここは自動化できるんじゃないか」
みたいなアイディアが出てくると思います。

・入力作業
例えば、紙の契約書が山積みにあったとします。
こういう時はまず、OCR(紙をスキャンして文字データとして読み取るツール)を使って、
データ化し、データ化されたものをRPAを使って、
上で説明したような社内システムに自動で入力していきます。
IT化の時代でもまだまだ紙の書類は多く、OCRと連動することでRPAは大活躍します。

・情報収集
競合サイトがどの商品をいくらで販売しているのか、
定期的に資料を作成している人もいるでしょう。
しかし、RPAを利用すれば何社もの競合サイトを24時間監視し、
容易にデータを収集することができます。

・データ加工/資料作成
毎週・毎月の定例会議用の資料を
いちいちExcelからグラフを作ってパワポ資料に落とし込む必要もありません。
そのような定型業務こそロボットに任せて、
他のことに集中することができます。

・期限管理
顧客が期限までに振り込んでくれるか、
仕入先にいつまでに入金すればいいか、
非正規従業員の雇用期限はいつか、
それぞれ担当者を立ててExcelで管理しているならRPAはかなり有効です。
RPAなら期限を管理するだけでなく、2日前にリマインドすることだって可能だし、
期限が近づいたらそれに関する書類を作成するところまで自動的にやってくれます。

【コスト削減以外の意外な効果】
「自動化して作業削減してコストダウン」というのは容易に想像できますが、
コスト削減以外にも多方面に効果が出てくるのが面白かったです。

・仕事のモチベーションUP
特に、新卒で入ったばかりの新入社員なんかは、
仕事に対してキラキラしたイメージを持って入社する人が多いでしょう。
「こういうことをやりたい」と思って入社することは素晴らしいことですが、
実際の仕事は結構地味なことが多く、
定型作業ばかりでショックを受けた経験はありませんか。
RPAは、人間がつまらないと思う地味な定型作業を
文句1つ言わずに完璧にこなしてくれます。
RPAを導入することで、「こういうことをやりたい」と
思っていたことができるようになり、社員が生き生きと働くようになります。

・データのリアルタイム化で戦略の精度UP
スピード感が重要な現代のビジネスでは、古い情報を元に議論するよりも
最新の情報で議論した方が当然精度が良くなるはずです。
先週までの売上をもとに議論するより、現在の売上で議論した方がいいし、
先月調べた競合情報よりも、たった今調べた競合情報をもとに戦略を練った方がいい。
RPAで情報収集のサイクルを短くすることができれば、
「この商品は在庫が余りそうだから割引キャンペーンをしよう」とか
「他社が値段を下げたからうちも下げよう」という適切な判断が下せるようになります。

・作業の見える化
RPAを導入するにあたり、まずはどのような単純作業があるか探すことになります。
そこで、普段は担当者がやっている仕事を「見える化」することで、
それ自体が非効率的なやり方だと気づいたり、担当者がいなくなってからも
他の人が引継ぎやすくなったりします。
つまり属人的な仕事が減ります。

【人間 VS ロボット】
ここまで読んで、
「人間ができる仕事がロボットに置き換わってしまう」と思った方は正解です。
定型作業はロボットに任せてしまった方が、
正確だし、休みも必要ないし、コストも安い。

でも、「ロボットによって、私の仕事がなくなっちゃう!」と思った方は間違いです。
ロボットには得意とする業務と、苦手な業務があります。
定期的に決まったことをする作業は、ロボットが超得意とする分野なので
人間に勝ち目はないでしょう。
しかし、クリエイティブな仕事はロボットにはできません。
「もっとこうした方がいいのに!」「こうした方が面白いのに!」という不満は、
人間にしか生まれないのだから、人間にしか発想できないのです。

この本のタイトル、『RPAの威力』の”威力”は、
「人間の仕事奪っちゃうよ」という脅しではなく、
「人間の仕事が高付加価値化するほどRPAはやばいよ」という意味だそう。

本当に進化するのは技術ではなく、人間だと著者は言います。